カノジョと出会ったのは、およそ14年前。
当時は、色々イロイロで自暴自棄な暮らしをしていた。
自分の存在価値を見失い、日々すべて虚しかった。
何でもいいから、ダメになって行く自分をますます嫌いになりたかったような…。
一日50本のタバコと、ハンパじゃない量のお酒、女だてらにケンカもした。
仕事はしていたけれど、二日酔いじゃない日は殆どない。よくクビにならなかったものだ。
一人暮らしだから破天荒が治らないんじゃ?
猫でも飼ってみたら?
家族がいれば 少しは肝臓を労われるんじゃ?
いっそ、猫にカンゾウて名前つけて一緒にいたわれば?
周囲の言いたい放題におされて、少しソノ気になった。
折しも母親の参加していた「里親探しの会」で、数日間 橋の上に並べられても貰い手がつかなかった猫2匹が、実家の洗面所に籠もっていた。
「どっちかを肝臓ちゃんにしたら?」と母まで。
どれ……見に行ってみた。
なんだ、2匹とも子猫じゃないぢゃん。。
可愛い声を出して甘えてくる三毛猫。
ケージから出ようともせず ブスっくれてるキジトラ猫。
このキジトラに「肝臓ー」声をかけたら、ギロリっっと睨み返してきた。
猛禽類的な超目つきの悪いヤツ。。。
三毛は愛されキャラだから、きっとどこかで幸せになるだろう。
コイツ(キジトラ)、「肝臓」に決定。。。
あとで聞いいたところ、どこかの家で生まれ 兄弟みんな里子に出て、コイツだけはあまりのヤンチャぶりに里親から捨てられたのだそう。
しかも、虐待をうけたらしい人間への怯え方が残っていた。。。
さて、肝臓との二人暮らしが始まった。「レバ」とか「キモ」とか呼びつ。
………しかし、なつかない (-"-;)""
夜中の暴れかたは尋常ぢゃない。。。わざわざ人の顔面を走り抜ける。
ムササビみたいに宙を飛びまくる。台所の袋という袋を破いてまわる(←床はゴマやら米やら春雨やら切干大根やら、朝になると芸術的なカーペット?に…)
ワタシの堪忍ブクロも破け、「くぉらーっっ!!」とっ捕まえて………ぇ、
……ぁ?怯えてる。。。そっか、そうなんだ。。。
むぎゅーーーーーーっ、抱きしめて目の奥深くを見つめて言った
「いけないの。わかって。ココ猫バレたら追い出されちゃうんだょ。
ねぇ一緒に暮らしてこうよ。カンゾー。。」
歯止めのきかない暴れん坊…私と同じぢゃん。
なつかなくてもいい。と思った。
しばらくして、避妊手術を済ませると、何だか"雌"を失ったカンゾーが小っちゃく見えた。
名前の語尾だけ女の子ぽく「え」に改名してみた。
「かんぞぇ」ちゃん。
ワガママ一杯。気に入らないご飯には砂かける。
特技:袋破り、紐ちぎり、カーテンのぼり、壁画、砂まきババァ……
まったくアタマの痛い毎日で、却って飲酒量が増えたりもした。
かんぞぇとケンカして、ふてくされて呑みに出たりもした。。。
それでも、帰宅して玄関ドアを開けると、超ジャンプ力で跳びついてくる「憎めないヤツ」だった。
〜その2へ続く。。。